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執筆者の写真suzun0ne

空海の涙~後編~

数日身体を休ませてもらい、すっかり僧の体力は戻りました。

…健気に働き、母親を養う娘に何か出来ることはないかと僧は考えたそうです。


そこで旅立ちの日、僧は手に持っていた錫杖(しゃくじょう)を振りかざし地に刺したそうです。するとたちまち錫杖より大きな龍が現われ、そこから大量の水が溢れ出てきたそうです。



娘は驚き、感動のあまり泣き崩れたそうです。そして、そこには井戸が作られ水は枯れることなくこんこんと湧き出て娘の家族は繁栄したとの事でした。

一方で、古い家へ立ち寄る前に行った大きな屋敷の井戸は、僧が立ち去った直後から乾ききり一滴の水も溜まらなく朽ち果ててしまったそうです。


僧は最後に娘にこう伝えました。

「人を選ばず徳をなす、そなたの生き方に感銘を受けた。私の名は空海。あなた達家族の行く末が末永く潤い栄えますように」と。


…皆さん、お気づきになられましたか?

空海が錫杖を振りかざし、地よりいでし水もまた驚きましたが…最初に行った屋敷について疑問が一つ浮かび上がります。それは、空海は扉の中にすら入っていないのになぜ井戸があると分かったのでしょうか。…ここがこの空海の話す昔話の遊び心であります。


この昔話は、今は亡き師匠より直に弘法大師と交信をさせて頂いた際に聞いた話であります。幼い頃に、錫杖を鳴らす音を聞き誰か側に居ると気づいた時、師匠より教えて頂いたものです。思春期に初めて弘法大師の持つ錫杖を持たせて頂き、自分たち家族に幸多かれを祈り振りかざした記憶が今も尚鮮明に残っております。


空海は僧としての名、出世をし弘法大師の名を受けたという訳です。幼少期の名は「真魚(まお)」筆の達筆な頭の良い子であったと伺っております。

空海にはたくさんの昔話があります。今も尚語り継がれる仏界でのレジェンドという所でしょうか。また、神獣の中でも有名な「犬神」を生み出した方でもあるのです。


その話はまた次回お話し致します。





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