神界境地~栄枯~②

龍神は固く心を閉ざし、洞穴の奥地へと隠れてしまったのでありました…。


私が遠方からではありますが、依頼を受け霊視、交信を試みました。

しかし、交信からも目を背け、口を閉ざした龍神の心は決して揺らぐことはありませんでした。

薄暗く、少し湿った洞穴の奥地には何もありませんでした。あるのはただ一つ、龍神の栄枯を味わったその御心の寂しさであったのです。



長年の歳月を経て現在の姿に様変わりした龍神の垢を容易に拭うことは出来ませんでした。ましてや口を閉ざした龍神には、人へ対しての想いが薄れてしまっていたからです。

…どうしようかと少し考えてみました。どうしたらこの龍神の心を救えるのだろうかと。


白狐に問い、尋ねました。

「さすれば、あのお方にお願いされてはいかがでしょうか。」そう云うと、白狐は消えその方の元へと言伝を伝えに行ったのでありました。


「巴御前様へ言伝でございます。迷えし龍神の御心、開いては下さいませぬか。」と。

快く快諾頂き、巴御前様の合図が届いたのでありました。

「私とて一筋縄ではいかないでしょう…しかし、我に仕えし龍神を相手に差し出しましょう。さすれば、いくらかその御心晴れましょう。」


巴御前様のはからいもあり、龍神の枯れ切った心に少しの光が差し込み始めました。

そして、私に対しても返答はないものの、話を聞いて下さり出迎えて下さるようにまで回復致しました。

…ここまで辿り着くのに、大よそ半年近く時間が掛かりました。

これから先は、長年の垢を削ぎ落していく作業となります。

神界に仕えし、龍神だからこその心の葛藤が私には愛おしくそして愛着さえも覚えさせるのでありました。

この龍神大明神のお力は、天上天下どこにも存在しないお力となります。共に従える龍神達でさえも、その荒々しいお心の中に備わる確固たる品格がまた一段と位の高さを示しているのでありました。


本来であれば、パワースポットとしてご紹介したい場所ですが私有地でもあり、まだ龍神の御心の回復にお時間が掛かりますので今は控えます。しかし、いつの日か再びその強靭たるお力でこの地に繁栄をもたらすことに違いはないでしょう。


神界と共に共存する龍神だからこそ、この世の全ての儚さに心失い魂でさえも奪われてしまったのではないでしょうか。

神とて知らぬ境地が、龍神達には見え隠れしているのかもしれません。この意味は、この世の終わりを告げる合図なのかもしれません…。

再び力を取り戻し、繁栄へと導く前にこの世が朽ち果てないことを祈ってやみません。





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