女の子が天へと昇ったその瞬間、ポツ…ポツと雨が降り始めました。
村民たちは喜び、それぞれの田畑へ戻り仕事を再開したそうです。
唖然としていた青年の前を通り過ぎようとした巫女は、しだれ桜を指さしこう告げました。
「民の者が祈り、それらが集結された御霊はこの地をいたく気に入ったようですね。それもあなたがいらっしゃったからなのかもしれません…」
青年は巫女へ尋ねました。「あの女の子は…?」巫女はニコッと笑い、こう告げました。
「天に遣わす子なれども、雨をも枯れる太陽の子」とだけ言い、立ち去ったそうです。
…300年の時が経ち、毎年そのしだれ桜は見事なまでに綺麗な桜を咲かせるのでした。
いつの日も桜の木の根元には、木に寄りかかり桜を見る青年と小さな女の子がそっと寄り添っているのでありました。
#しだれ桜の舞う頃に…#太陽の子#巫女#樹齢300年
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