本日は、樹齢300年を超えるしだれ桜に宿る精霊についてのお話です。
300年以上前…のお話しでございます。
ある青年が、農家の一人息子として朝から晩まで家族を養う為一生懸命働いておりました。
村に信仰の対象となる社を建立しようと、村民達が考え小さな社が建立されました。
そこには、農村の神でもある久延毘古(くえびこ)の大神が祀られました。
久延毘古大神は「かかし」を神格化した者で、田、農作、山などの土地神となります。
そして、その社の隣には一本の桜の木がご神木として植えられたそうです。
農家の息子として、その信仰はとても強く朝は日の出と共に、そして夜は日の入りと共に社に向かって手を合わせ礼をしておりました。
…とある日、青年が田畑を耕していると社の方角から「とんとん…」「…とん」と小さな子供の声が聞こえてきました。村の子供が社近くで遊んでいるのだろうと思い、その日は気にしませんでした。ところがその声は毎日、毎日その社の中から聞こえてくるのでありました。
一体どんな子なのだろうかと、青年は社の中を覗いてみました。
すると中には小さな女の子が手をこぶしにして「とんとん…」と手遊びをして遊んでいたそうです。青年が帰ろうとした、その時。物音に気付いた女の子は動きが止まりゆっくりと青年の方へ顔を向けました。青年は女の子と顔が合い、思わず驚きました。その女の子は、とても愛らしくそれは美しい顔でありました。しかし、よく見ると女の子の目は見えておらず全盲でありました。
女の子はニコッと笑い「あんた..どこからきた」と青年へ問いました。
青年は「ここの近くに住んでいるんだよ」と答えました。
女の子はまたニコッと笑い「遊んで」と言いました。
青年はそれからというもの、時間のある時に社へ訪れ女の子と遊んで過ごしたそうです。
#女の子の声#かかしの神格化#くえびこ
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