青年と女の子は、本当の兄妹のように仲良くなりました。
…ただ、どうゆう訳か青年が女の子と出逢った日から、村には一滴の雨も降らなくなってしまいました。村民たちは、田の渇ききった様子を見て落ち込み日々社へと雨乞いに訪れるようになっていたそうです。
「どうか村に雨を降らせてくれませんか」と願う横顔を見て、青年も気持ちが沈んでしまったそうです。何日も何日も雨は降らず、気が付くと既に三月が過ぎようとしていました。
困り果てた村民たちは、近くの村で祭事を司る巫女を呼び祈祷をすることにしたそうです。
巫女が到着し、社へ入るやいなや..ふと後ろを振り返りこう言いました。
「こんなにも身近にお姿を変えられ、いらっしゃるとは…」巫女は少し微笑み、桜の木の下で遊んでいた女の子の元へ駆け寄りました。
そして、手を差し伸べ「帰られる場所へお戻り下さい」と言いました。
青年は唖然とし、何が起こっているのか分からなかったそうです。
巫女は、女の子の手を引き祭壇の前へ向かい祈祷を始めました。
..しばしすると、女の子は青年に言いました。
「…またあいとーね」
そう告げると、静かな光を放ち天へと昇っていったそうです。
#雨乞い#巫女に視えた女の子の正体#青年#村民たちの落胆
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